自然首都・只見  


過去の企画展について


平成23年度平成24年度平成25年度平成26年度
企画展パネルの 貸し出しについて

 





■只見の湿原

只見町は日本海側の多雪地帯に位置し、標高1000m前後の山々が連なる山間地域にあるため、冷涼な気候帯に属します。只見町を含めた奥会津地域の、標高が1500mを超えるような山岳部には、多雪地帯を反映して雪田群落が形成され、その中には高層湿原が形成されています。こうした高層湿原は尾瀬地域を中心に会津駒ケ岳、中門岳など奥会津地域の山々の山頂部に広く見られ、只見町でも浅草岳や丸山岳山頂部に小規模な高層湿原が見られます。一方、町内には比較的低標高地にも湿原が分布しています。その代表的な湿原が、梁取の大曾根湿原(梁取湿原)と布沢大田の大谷地です。こうした湿原には、その特異な環境を反映した植物群落(湿原植生)が形成され、希少な動植物の生育・生息場所となっており、地域の生物相の多様性に大きく貢献しています。

 2014年に只見地域がユネスコエコパークに登録されたことで、地域の財産として湿原の重要性が認識されるに至りました。これを契機として只見町ブナセンターでは、自然環境基礎調査として町内全域の湿原の植生調査を実施しました。また、只見町教育委員会では、大曾根湿原と大谷地においてボーリング調査により、花粉分析と植物遺体の調査を行い、湿原の形成と過去の周辺植生の復元に取り組みました。本企画展は、この二つの調査結果を中心に、只見町の湿原の実態を理解していただき、その保護・保全を図ることを目的としたものです。

只見の湿原.pdf パネル枚数:30枚 ※最初の5枚のみ閲覧できます。 

■守りたい!只見の野生動植物

 只見町では近年、開発による環境破壊や山野草の盗掘、昆虫の採集などが問題となっています。地域の自然環境や野生動植物が損なわれることは、地域住民の生活基盤が脅かされるということを意味します。只見町の自然と地域住民との関係性を将来的に維持し確保するために、自然環境と野生動植物を保護・保全することは地域社会にとって不可欠なことです。

 2016年、只見町は「只見町の野生動植物を保護する条例」を制定しました。これは、地域の自然環境や野生動植物が地域住民の生活を支える共有財産かつ資源であるという視点に立ち、その保護・保全に積極的に取り組むことによって、持続可能な天然資源を利活用しながら、地域社会の発展を目指すことを目的としています。この条例にはきびしい罰則はありません。あくまで地域の貴重な自然環境と野生動植物、天然資源の保護・保全を図ることの重要性を地域の人々が自覚し啓発に努めることを定めた倫理規定であり、それに取り組むことを表明した地域的合意書なのです。

 今回の企画展は、只見町の自然環境や生態系の重要性と絶滅の危機にさらされている動植物を紹介するとともに、それを保護・保全していくために制定された「只見町の野生動植物を保護する条例」の内容とその役割を知っていただくために開催するものです。これによって、いささかでもその重要性と必然性を理解していただき、只見町の豊かで美しい自然環境を次世代に引き継いでいく一助となれば幸いです。

守りたい!只見の野生動植物.pdf パネル枚数:28枚 ※最初の5枚のみ閲覧できます。 


 
© Tadami Beech Center.