■只見の昆虫たち
カミキリムシの専門家である槇原寛氏の下、2014~2015年にかけ行われた只見町の自然環境基礎調査の結果を総括。甲虫目、中でも森林との関わりが深いカミキリムシをメインとしています。
今回の調査により、豪雪地帯の証ともいえるカブトムシの小型化やユキグニコルリクワガタの生息が確認された一方、それとは別にネブトクワガタやトラフホソコバネカミキリが生息するなど、対馬海流の影響で比較的暖かい地域に見られる日本海側要素の昆虫も混在していることが分かりました。これは日本海側に流れ込んでいる川があることにより、川沿いに生息地域を拡げてきた結果だと考えられます。
また、大曾根湿原に絶滅危惧種のアオバヒメコメツキモドキが多産すること、ネクイハムシ類も生息することから、多様な昆虫が生息していることの一部が垣間見えたと思われます。
そのほか、マツノマダラカミキリが生息していないことも一つの特徴と言えます。物流による人為的侵入で青森県まで分布を広げている種ですが、たとえ侵入しても只見町では豪雪がその定着を妨げていると考えられます。
只見町の昆虫の調査はまだ始まったばかりで、全体像はつかめていません。それでも、只見町が自然度の高い森林を有し、それ相応の多様な昆虫相が存在していることが示唆される結果となっています。
|